度・パーセント勾配・寸勾配の換算方法
ひとつの勾配、3 つの呼び方
勾配とは、面が水平からどれだけ急に傾いているかというだけのことです。裏に複雑な話はありません。水平方向の距離を 1 つ決め、その距離で面がどれだけ上がるかを見れば、急さを表したことになります。ややこしく感じるのは、3 つの分野がそれぞれ別の書き方を採用したからです。
度は角度をそのまま測り、0°(完全に平ら)から 90°(垂直)までです。幾何で習う単位であり、紙の上で分度器が読み取る単位でもあります。
パーセント勾配は、高さを水平距離で割って 100 を掛けたものです。100 m 進んで 6 m 上がれば、6% 勾配です。
寸勾配は、決まった水平距離に対する高さを表します。日本では水平 10 が基準で、水平 10 に対して 6 上がる屋根は 6寸勾配です。
3 つとも、まったく同じ傾きを指しています。ものさしが違うだけです。

度とパーセント勾配
角度とパーセント勾配を結ぶのは正接(タンジェント)です。パーセント勾配は高さ ÷ 水平距離で、角度の正接も同じく高さ ÷ 水平距離です。つまり同じ量を 100 倍しただけです。
パーセント勾配 = tan(角度) × 100
いくつか基準になる値を挙げます。
- 45° では高さと水平距離が等しいので tan(45°) = 1、勾配は 100% です。
- 26.57° では高さが水平距離の半分なので tan ≈ 0.5、勾配は 50% です。
- 10° では tan ≈ 0.176 なので、勾配は約 17.6% です。10% ではありません。
最後の例で多くの人がつまずきます。10° の傾斜は 10% 勾配ではありません。両者が一致するのはゼロ付近、曲線がほぼ直線の範囲だけです。角度が上がるほどパーセントのほうが速く増え、45° では 100% まで開き、垂直に近づくとパーセントは無限大へ向かいます。
逆方向へは、正接の逆関数である逆正接(アークタンジェント)で戻します。
角度 = arctan(パーセント ÷ 100)
30% 勾配は arctan(0.30) ≈ 16.7°、100% は arctan(1) = 45° です。関数電卓なら tan と arctan(多くは tan⁻¹)のキーで両方向とも計算できます。
寸勾配:大工の近道
屋根の勾配を寸で表すのは、大工の仕事の仕方に理由があります。曲尺を使うと、水平 10 を基準にした割り付けがそのまま墨付けになります。6寸勾配とは、水平 10 に対して屋根が 6 上がるということで、大工は三角関数に触れずに直接木材へ写せます。
角度を求めるには、水平距離を 10 とした同じ正接の関係を使います。
勾配の角度 = arctan(高さ ÷ 10)
6寸勾配は arctan(6 ÷ 10) = arctan(0.6) ≈ 30.96°、パーセントでは 60% です。10寸勾配は arctan(1) = 45° = 100% になります。3 つの体系は同じ勾配に収束し、変わるのは表記だけです。
よく使う勾配の換算表
最もよく出会う値を、横に読み比べられるように並べました。
| 寸勾配 | 角度 | パーセント |
|---|---|---|
| 3寸 | ≈ 16.70° | 30% |
| 4寸 | ≈ 21.80° | 40% |
| 5寸 | ≈ 26.57° | 50% |
| 6寸 | ≈ 30.96° | 60% |
| 10寸 | 45° | 100% |
表を読むこと自体が換算の練習になります。10寸勾配 — 高さと水平距離が等しい — はちょうど 45°、ちょうど 100% で、この体系でいちばんきれいな目印です。5寸はその半分の高さで 50% に落ち着きます。そして、パーセントの列が角度の列に比例していないことに注目してください。寸勾配を 5寸から 10寸へ 2 倍にするとパーセントも 2 倍になりますが、角度は 26.57° から 45° であって、53° にはなりません。正接の曲線が効いているのです。

どの分野がどの単位を使うか
それぞれの単位には定着した実務上の理由があり、慣習を知っておくと誤った単位で伝える失敗を防げます。
- 大工・屋根工事は寸勾配。 曲尺にそのまま写せるので、計算なしで垂木の墨付けができます。
- 土木と道路標識はパーセント。 「7%」の標識は、距離あたりどれだけ下るかを運転手に伝えます。ブレーキの判断にはそれが重要です。
- 数学・機械加工・製図は度。 角度どうしはきれいに足し合わせられ、分度器も CAD もこの単位で話します。
- 遊歩道やバリアフリー基準はパーセントと比の混在。 たとえば屋外のスロープは 1/15(約 6.7%、3.8°)以下と定められています。
問題は、相手が測ったのとは別の単位を欲しがることがある点です。ここでスマホが役立ちます。面に置いてモーションセンサーから勾配を読み、表示を度・パーセント・寸勾配に切り替えれば、計算はいりません。屋根専用なら、勾配計算に高さと水平距離を入れるだけで 3 つとも同時に出ます。
要点は単純です。度・パーセント・寸勾配は、ひとつの考え方の 3 つの方言にすぎません。それらを結ぶ正接を覚えれば、どの 2 つのあいだでも行き来できます。あるいは、測ったその瞬間に道具に任せてしまってもかまいません。